『凪のお暇』が始まった。1話の視聴率は10.3%。2話以降は下がるのが一般的なので、平均は一桁で着地しそうだ。肝心の内容はよくて、早くも秀作の予感がする。凪(黒木華)があまりに不憫で切なくなった。一方、気になったのは慎二役の高橋一生(たかはしいっせい)だ。人気俳優にのぼりつめた彼が、なぜこのようなゲスな役を引き受けたのか。当然メリットはあるはずなので、その辺りを想像してみた。
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慎二の「して」は不快
もっとも不快だったのは凪の自宅で慎二が「して」というシーンだった。この言葉を聞いた瞬間、凪の表情が曇る。それを嫌々するのは明らか。その後、会社で凪は慎二のゲスな発言を聞いて過呼吸で倒れ、二人は別れる。原作は読んでいないし、脚本で変わるかもしれないが、この一連のシーンで凪が慎二の元に戻ることはないと思った。
慎二をゲスなままでは終わらせないはず
これから慎二がゲスな男になった背景が描かれるようだ。原作の評判によれば、慎二は読者に嫌われているようなので、背景(生い立ち?)がわかったところでダメなものはダメなのだろう。ただ、ドラマは人気俳優の高橋一生が演じている。原作以上に慎二をゲスなままでは終わらせないはずだ。
大島里美の脚本は温かな目線が特徴
この仮定を実現する上で重要なのが脚本と演出だ。まずは脚本について。手掛けているのは大島里美。好きだった連ドラは『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007年)、『リアル・クローズ』(2009年)、『早海さんと呼ばれる日 』(2012年)。単発ドラマでは『わたしに運命の恋なんてありえないって思ってた』(2016年)があった。共通するのは温かな目線。当然、ゲスな慎二にも向けられることは想像される。
坪井敏雄はそぎ落としていく演出が特徴
次は演出について。関わっているのは3人いて、公式サイトの先頭に載っているのは坪井敏雄(チーフは土井裕泰?)。好きだった連ドラは『Around 40 ~注文の多いオンナたち~』(2008年)、『スマイル』(2009年)、『獣医ドリトル』(2010年)、『カルテット』(2017年)、『中学聖日記』(2018年)。たまたま『カルテット』の演出家を調べた時があって、坪井敏雄は6話。説明的な描写がそぎ落とされた傑作回だった。『凪のお暇』の1話の演出は不明だが、順番からいけば坪井敏雄だろう。クライマックスでは再度彼が演出するはずだ。
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高橋一生が真骨頂を発揮するか
このようにスタッフは優秀なので、後は演じる高橋一生にかかってくる。嫌われキャラでスタートした慎二に対し、いかに違和感なく温かな部分を吹き込めるか。つまり、メリットは演じがいがある難役であること。高橋一生が真骨頂を発揮するシーンが見られそうだ。
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