『僕らは奇跡でできている』の内容が素晴らしい。タイトルでも触れたように、民放ゴールデン・プライム帯の連ドラ初主演にして、間違いなく高橋一生(たかはしいっせい)の代表作になるはずだ。
初めは『僕らは奇跡でできている』のよさがわからなかった
初めは逆の印象だった。『僕らは奇跡でできている』の1話の予告編を見た時、内容が伝わってこなくて、つまらなそうだと思っていた。そのせいか1話を見逃してしまった。初めて見たのは2話。結果は想像通りだった。しかし、その一方で俳優としてのステイタスが急上昇した高橋一生が選んだドラマだから、何かしらの魅力があるのだろうと思っていた。それがわかったのは3話。歯科クリニックで出会った虹一(川口和空)という少年と勝手に動物園へ行って、トラブルを引き起こしてしまうという内容である。
『僕らは奇跡でできている』は変人に対するまわりの視線が優しい
『僕らは奇跡でできている』の公式サイトに説明はないが、ネット上では高橋一生が演じる相河一輝は発達障害だと触れられている。確かにそうだと思う。7話で少年に視覚障害があることはわかったが、実はそれだけでもなさそうだ。「グッジョブ」の沼袋先生(児嶋一哉)だって普通ではない。さらに付け加えれば、学生の桜ちゃん(北香那)もそうかも。いわゆる変な人達の集まり。それで何がいいのかというと、彼らに対するまわりの視線が優しいのだ。
『僕らは奇跡でできている』で注目の若手キャストは、女子大生役の矢作穂香
少しでも弱点を見せると総攻撃を受けるいまの社会
少し話題は逸れるが、SNSというか特にツイッターが浸透してから、やたらと他人に厳しい社会になってしまった。少しでも常識からはずれれば、「謝罪しろ」とバッシングの嵐。全方位から攻撃されて、攻撃された側が自ら命を絶つこともある。人間だから時には失敗もする。常識のレールからはずれることは、そんなに赤の他人から非難されなければならないことなのか。まさに『僕らは奇跡でできている』の相河一輝はいまなら総攻撃を受けるような立場の人間。このドラマではそこに温かい手を差し伸べている点が魅力的に映るのだ。
『僕らは奇跡でできている』の橋部敦子は『僕シリーズ』の脚本家
あまりに『僕らは奇跡でできている』の内容がいいので、初めてスタッフを調べてみた(遅すぎ)。脚本家は橋部敦子。代表作は『僕の生きる道』(2003年)や『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004年)、『僕の歩く道』(2006年)のいわゆる『僕シリーズ』という名作を手掛けた大先生だ。これらの中では『僕の歩く道』の主人公が相河先生のキャラクターに近い。このドラマでもまわりの視線が優しかった。
演出の中心は良作『早海さんと呼ばれる日』の河野圭太
さらに『僕らは奇跡でできている』の演出の中心は河野圭太。『僕シリーズ』では最後の『僕の歩く道』に関わっていたが、チーフ(責任者?)として関わった最近のドラマで好きだったのが『早海さんと呼ばれる日』(2012年)。この時も初めはよさがわからなくて、気が付くと好きになっていた。
低視聴率の原因が森川葵だなんて馬鹿げた話
このように『僕らは奇跡でできている』には最高レベルのスタッフが関わっているのだから、良作に仕上がるのは当然だ。一部で低視聴率は森川葵(大ファン!)との交際が原因だと推測されていたが、そもそもフジの火曜9時は一桁台の放送枠。ドラマがリアルタイムで見られない時間帯なのだ。初回7.6%で7話が7.2%ならば、ごく平均的である。
感動のラストに期待
そんな低視聴率なんて小さなことよりも、名脚本・演出を背景に生み出される高橋一生の名演技に注目すべき。毎回の感動は当然のこと、最終回は感動の名シーンが待ち受けているはず。『僕らは奇跡でできている』は平成最後の傑作ドラマになるかもしれないよ。
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