いまいい雰囲気のドラマが放送されている。日テレ水10の『獣になれない私たち』だ。視聴率は奮わない。その影響もあってか、全日帯(午前6時~深夜0時)の視聴率は5年ぶりにテレ朝に抜かれたらしい。しかし、数字のことはともかく、いいものはいい。主演は『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)以降、連ドラ界のトップにのぼりつめてきた新垣結衣。ただ、このドラマでもっとも魅力的なのは松田龍平(まつだりゅうへい)だ。
表面的にはチャラいが、影があるキャラクター
【よる10時】「#獣になれない私たち」ワンマン社長・九十九(#山内圭哉)へ決死の業務改善要求をした結果、うやむやのまま昇進させられてしまった晶(#新垣結衣)。晶は、元彼女の朱里(#黒木華)のことで疲れ切っている彼氏の京谷(#田中圭)の前では自分のことは何も言えない… #ntv #日テレ pic.twitter.com/eEZnPtI6af
— 日テレ公式@宣伝部 (@nittele_da_bear) 2018年10月24日
彼が演じる恒星は、世間的にはエリートコースからはずれ、酒を飲んでは女を口説くチャラい男。見た目はクールなのでいかにもモテそうだが、ただ女とやりたいだけの男ではない。抱えているものがあるからこそ、我を忘れるほど飲んで羽目をはずしてしまうのだ。
酒が入った時のリアルな展開がいい
一方、主人公の晶(新垣結衣)は死が頭をよぎるほどに仕事のストレスを感じている。さらに婚約者・京谷(田中圭)への不満も加わる。そのような中、晶は京谷には話せないことを恒星にはぶちまける。人は酒が入れば本音をさらけ出すもの。5tapというバー(クラフトビール店)を起点として繰り広げられるリアルな展開がいいのだ。
どうしても父親の面影を追ってしまう
話は少し逸れるが、松田龍平を見ているとどうしても父親である故・松田優作の面影を追ってしまう。若い人は知らないだろうし、思い入れもないだろう。表面的にはクールで狂気性をはらんだカリスマ。日本でもっとも好きだった俳優だ。あるインタビュー記事によれば、父の記憶はあまりないらしい。それでも芸能界で仕事をしていると、影響を感じるという。まわりが松田優作の息子ということで好意的に(逆もあるだろうが)接してくるからだ。
父に似た雰囲気を感じる時がありグッとくる
別に僕は何も接点はないが、気持ちは理解できる。好きだった俳優の息子が、いいものを見せてくれば他の俳優には感じられないものがこみあげてくる。ここでの龍平はドロップアウトしつつも、実は人の心に敏感な男のキャラクター。キモいといっていた晶に対して、心を開き始めている。父の記憶はほとんどないといいつも、似たような雰囲気を感じる時がありグッとくるものがあるのだ。
そろそろ恒星が獣の顔を見せるか
新垣結衣が光って見えるのは、影の存在である松田龍平がいるからこそ(菊池凛子の獣感も気になるが)。恒星が晶に対してどのような獣の顔を見せるのか、今後の展開が楽しみだ。
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