『セシルのもくろみ』は残念だが、伊藤歩はいまが旬

女優

視聴率のことはさておき、フジテレビの木10ドラマは良作を生み出すことで定評がある。今クールは『セシルのもくろみ』。しかし、初回を見て崩れ落ちた。ファンである僕が見ても、真木よう子の痩せすぎた容姿は痛々しいのだ。まわりをかためているキャストがいいだけにもったいない。その中でもファッションライターの沖田江里を演じている伊藤歩(いとうあゆみ)は、旬の女優ともいえるくらいに輝いている。

『スワロウテイル』が印象的


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現在37歳。芸歴は長いので「旬の女優」と呼ぶには遅すぎるくらいだ。僕が見た中でもっとも古い作品は映画『スワロウテイル』(1996年)あたり。その後も様々な作品を見てきたが、印象に残っているのはドラマや映画ではなくてCM。数々の名作を生み出してきたサントリーオールドのCMで、父(國村隼)に結婚相手(加瀬亮)を紹介する娘役が魅力的だった。これが2007年あたり。

透明感はあるが印象は薄かった

一言で表現すれば透明感がある女優。悪くいえば印象が薄い存在だった。きれいで芝居はうまいので便利な存在として使われてきたのかもしれない。振り返ってみると不幸な役ばかり。突き抜ける上で何かが足りなかった。そのような中で出会ったのが話題になったドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年)だった。斎藤工が演じる北野の妻役。不倫相手の紗和(上戸彩)に対し、あそこまで感情をむき出しにして相対する人物像は、これまでの伊藤あゆみには見られかった。

ダンスのキレには驚いた

そして、今回の『セシルのもくろみ』。強気な面を持つキャラクターは踏襲しつつ、オシャレで女性としての色気も打ち出してきた。エンディングのダンスも一人だけキレがいいので驚いたが、調べてみたらクラシックバレエの経験者。いままでは主演より目立ってはならないと、自分を抑え過ぎていたのではないだろうか。今回は生き生きと江里という役を演じている。だから、真木よう子よりも魅力的で、主演のような存在感すらある。それだけに『セシルのもくろみ』の不発ぶりは残念だ(*1)。

次回作は主演でいけそうだ

ということで、興味は早くも伊藤歩の次回作。今度は本当の主演で(深夜ならイケる)、ぶっ飛んだキャラクターを演じれば面白いと思うけれどな…。

*1(2017年8月18日更新):昨日放送された6話の視聴率はこれまでの最低となる3.7%だった。相変わらず視聴率は低迷している。しかし、内容は悪くない。ややストーリー展開は強引だが、そんな細かいことなんか吹き飛んでしまうような高揚感がある。あらためて演出家を調べてみた。『CHANGE』(2008年)や『夏の恋は虹色に輝く』(2010年)を手掛けた澤田鎌作。そして、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)の並木道子と高野舞。実績のあるスタッフが関わっていた。伊藤歩は勢いがあって文句なし。内容的にはいい感じで最終回を迎えてほしいものだ。

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この記事を書いている人

シュン(@shundrama)。ドラマ好きなおやじ。これからブレイクする俳優や女優を見つけることをライフワークとしている。