高橋一生が『カルテット』の4話で渾身の演技力を炸裂

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『カルテット』の4話が放送された。家森を演じる人気急上昇中の高橋一生が中心の回。それだけに視聴率の動向に注目していたが、最低の7.2%だった。しかし、内容的にはこれまでの『カルテット』の中でもっとも感動的なシーンを見ることができた。

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息子との別れのシーンは秀逸

4話で明らかになったのは、家森に離婚歴があり、小さな子供と離れ離れで暮らしているという事実。元妻(高橋メアリージュン)から久々に再会した息子を奪い、最終的に別れるシーンが実に感動的だった。

『カルテット』の表現は万人に受けない

『カルテット』は抑制が効いた演出に特徴がある。高橋一生は息子との別れをこらえる中で、こぼれ落ちる涙を見せていた。あれがお涙頂戴の大袈裟な演出だったら、僕は冷めてしまったと思う。そして、この感動的なシーンの後に、その空気を察して去る3人のカットが入り、少女漫画風のメイクで家森を迎える演出。しみじみとした人情劇が展開されていた。これこそが『カルテット』の魅力であり、こういう表現方法が万人に受けない(視聴率に反映されない)理由だと思う。

離婚にこだわる坂元裕二

ところで、この高橋一生が演じた役柄だが、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)の時とほぼ同じ設定だ(『いつ恋』の高橋一生、金髪パパ役があまりにリアルで切ない)。しかも、脚本家も同じ坂元裕二。どうして坂元裕二はこの組み合わせにこだわっているのだろうか。

私生活が影響を及ぼしているのか

さらに付け加えれば、坂元裕二は『Mother』(2010年)あたりからずっと離婚というテーマにこだわっている。坂元裕二自身がそういう境遇で育ったのか、あるいはいまの妻(女優の森口瑤子)と破局寸前なのか。ここまで繰り返されると、私生活が影響を及ぼしているように感じてしまうのだ。

『いつ恋』の高橋一生はいい線までいっていた?

ただ、坂元裕二の私生活がわからない以上、設定についての謎は推測するしかない。おそらく『いつ恋』では、坂元裕二がイメージしていたものが表現しきれていなかったのではないだろうか。それでも、高橋一生に再びこの役柄を演じさせたのは、惜しいところまではいっていたからかもしれない。

『カルテット』は主役が脇役にもなる変幻自在な作品

『いつ恋』と『カルテット』を比較した場合、大きく異なるのは表現の幅だ。『いつ恋』はほぼ高橋一生の演技力だけで子供とのシーンを展開していたので限界があった。その一方で、『カルテット』は主演クラスの役者が脇をかためて、さらに演技ができる子役も配置してシーンを構成。当然の結果だが、到達点のクオリティが違いすぎるのだ。実際、深い感動を得たのは『カルテット』の方だったし、これで大先生も納得したんじゃないかな…。

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この記事を書いている人

シュン(@shundrama)。ドラマ好きなおやじ。これからブレイクする俳優や女優を見つけることをライフワークとしている。