『校閲ガール』は石原さとみの真の代表作になるか

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日本テレビの好調枠・水曜ドラマで放送される2016年秋クールのタイトルが決まった。『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』。主演は常に動向が注目される石原さとみ。今年で30歳を迎える彼女にとって、今回は話題だけでは終わらずに内容も伴った形で勝負に出てきたような気がする。

不況の出版界を盛り上げようとする背景があるのか


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校閲とは原稿の誤りや不備な点を訂正する作業。主に文章を扱う出版・新聞業界で知られている仕事で『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の舞台は出版界だ。最近では春クールに放送された『重版出来!』も出版界が舞台だった。ただ、平均視聴率は8.2%だったので成功したとはいえない。今度は何かをつかんだ上でのリベンジかと思ったら放送局が違っていた。そう、『重版出来!』はTBS。それならば原作本の出版社が同じかと思って調べてみたら、『重版出来!』が小学館で『校閲ガール』がKADOKAWA。不況の出版界を盛り上げようとする背景があるのかもしれない(代理店が企画?)。

ファッション系の派手な連動企画が満載か

『重版出来!』は不況の中でもヒット作を生み出すコミック業界だったが、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』はもうひとつの元気な業界、出版の王道であるレディースファッション。そこにファッションアイコンの石原さとみが関わるので、ファッション誌やイベント、ファッションブランドを巻き込んだ派手な連動企画が仕掛けられてくることは予想される。

代表作と呼べるものが民放の連ドラではない


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僕は石原さとみのファンである(熱狂的ではないが)。ただ、心に残るドラマがあったかというと思い浮かばない。出演作は常に話題になるし、どんどん色っぽくなっているから見たくはなる。しかし、代表作と呼べるものが、少なくとも民放の連ドラではない。あえていえば『失恋ショコラティエ』(2014年)だろうか。でも、これは助演で松本潤の主演作。個人的には、まだ少女みたいな頃にさかのぼってしまい、1番は『H2~君といた日々』(2005年)で『パズル』(2008年)もよかった、という感じになってしまう。

水曜ドラマは人気女優が内容を伴って輝く放送枠

こう振り返ってみると、派手な活躍の割にドラマでの実績が伴っていない印象を受ける。そんな彼女が『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』に出会ったことでチャンスを迎えている。前述したように水曜ドラマは日テレの最強枠。最大のヒット作は松嶋菜々子が華々しく復活を遂げた『家政婦のミタ』(2011年)。綾瀬はるかは『ホタルノヒカリ』シリーズ(2007年、2010年)でコメディエンヌとして新境地を開拓した。いま放送されているのは夏クールのトップを走り、いい意味で奇妙な北川景子が見られる『家売るオンナ』。人気女優が内容を伴って輝く魅力的な放送枠なのだ。

おしゃれなコメディエンヌが誕生するか

『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』の演出は、近作はふるわないが仲間由紀恵を頂点にのぼりつめさせた『ごくせん』シリーズの佐藤東弥(『家政婦のミタ』にも関わっていた)。おしゃれなコメディエンヌとして、そろそろ石原さとみの真の代表作が誕生してもおかしくはない。

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この記事を書いている人

シュン(@shundrama)。ドラマ好きなおやじ。これからブレイクする俳優や女優を見つけることをライフワークとしている。