『怪盗 山猫』の第5話の視聴率は7.9%だった。初めての一桁。途端に放送開始からこれまで褒め称えていた世間が、バッシング一色に変わった。確かに視聴者が離れたのは事実。しかし、ドラマファンは、亀梨ファンはちゃんと見ているのか。主演の亀梨和也は、己を信じて突き抜け続けている。
亀梨和也が『ボク、運命の人です。』で演じるキャラクターが魅力的
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亀梨和也が『怪盗 山猫』で演じるキャラクターが魅力的
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名作映画やルパン三世を思い出した
亀梨和也について語る前に、ちょっとだけ違う話をしておこう。
これまで触れたことはなかったが、『怪盗 山猫』というタイトルを目にした時、初めに浮かんだのはルキノ・ヴィスコンティ監督の映画『山猫』(1963年)だった。ただ、これについて触れると長くなるのでやめておく。そして、本編を見てすぐに思い浮かんだのはモンキー・パンチ原作の『ルパン三世』だ。
『怪盗 山猫』は神永学の小説である。作者は1974年8月生まれ。リアルタイムでアニメ『ルパン三世』を見ていた世代ではない(はず)。小説『山猫』を発表したのが2006年。その辺りの時代を調べてみたが、『ルパン三世』が話題になった形跡はなかった。でも、かなり影響は受けたと思う。
ジャニーズの中では珍しい役者
『怪盗 山猫』に流れるコア(核)は「カタルシス(精神の浄化作用)」と「ピカレクス・ロマン(悪漢小説)」だ。これは『ルパン三世』にも通じるもの。主人公のルパン三世は一定のクールさを保っていたが、山猫は時に激しく感情を高ぶらせるかなり人間臭いキャラクター。決定的に違いはある。そのより人間臭い主人公の山猫を亀梨和也は自分のものにして、思いっきりよく演じている。ジャニーズのタレントとしては珍しい存在だと思う。
ここでジャニーズに在籍し、僕が俳優として感じるタレントを挙げてみる(順不同)。
風間俊介、上田竜也、堂本剛、香取慎吾、草なぎ剛、木村拓哉、中居正広、東山紀之、山下智久、生田斗真、長瀬智也、岡田准一、二宮和也。
いま、あらためて眺めてみて、僕がもっとも好きなのは堂本剛のような気がする。役者として非凡なものを見せてくれるのは風間俊介。草なぎ剛も悪くはない(カメレオン俳優・草なぎ剛の『スペシャリスト』が相変わらず面白い)。木村拓哉は別格。築いてきたものがとてつもなく凄い。岡田准一もいいが、ちょっと真面目臭い雰囲気は気になる。
突き抜け感が半端じゃない
当然、この中に亀梨和也は入ってくる。視聴率は関係ない。『怪盗 山猫』での突き抜け感は、ジャニーズのタレント同士で比べるレベルではない。KAT-TUNから赤西仁や田中聖が抜け、今春には田口淳之介が脱退。もう実質的にKAT-TUNは終わりだろう(*1)。そんな中、亀梨和也は懸命に目の前の仕事に取り組んでいる。危機感を抱きながら演じる山猫は、凄みすら感じられる。『怪盗 山猫』での亀梨和也は、視聴率で切り捨てられる存在ではないはずだ。
*1:この記事を書いている時には知らなかったが、本日KAT-TUNの活動休止が発表された(正確には5月から充電期間を設けるというもの)。やっぱり、亀梨和也の演技に表れていた危機感は本物だったんだね…。
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