11月7日(土)の深夜11時40分からひっそりと始まったフジテレビの連続ドラマ『トランジットガールズ』。ほとんど期待せずに見たのだが、連ドラ初出演にして初主演となる女優の登場に衝撃を受けた。再婚相手の家に住むことになる姉役の佐久間由衣(さくまゆい)だ。
佐久間由衣と伊藤沙莉のW主演作
一応作品のプロフィールを紹介しておくと、『テラスハウス』(2012~2013年)の制作陣~演出:前田真人、プロデューサー:松本彩夏、編成企画:太田大~が中心となって手掛けたラブストーリーである(*1)。冒頭で触れたように姉役の志田ゆいを演じるのが佐久間由衣。妹役の葉山小百合を演じるのが伊藤沙莉(いとうさり)。この二人のW主演となるドラマである。
内容的には同性愛が描かれている。最近、日本において同性婚が話題になっていたのでタイムリーともいえるが、個人的にその辺りはどうでもいい。何といってもこのドラマの注目は佐久間由衣なのだ。
同じ事務所の菜々緒に続く存在が佐久間由衣
彼女の所属事務所はプラチナムプロダクションである。いまでは菜々緒が牽引する事務所。ここは女優と呼べるタレントは皆無である。あえていえば、先駆者は突き抜けられない(突き抜けられなかった?)岩佐真悠子。『テラスハウス』でブレイクした筧美和子は(『トランジットガールズ』の第2話にモデル役でゲスト出演)、知名度はまあまあだがとても女優と呼べる存在ではない。まさにこの事務所にとって菜々緒は奇跡。佐久間由衣はその先輩に続く大きな可能性を秘めているのだ。
朝ドラ『ひよっこ』で幼なじみの時子役、佐久間由衣がスターになることは確実
全体的に漂う雰囲気は透明感の高さ
モデルで活躍している点は菜々緒と共通している(『ViVi』の専属モデル)。しかし、キャラクターはまったく異なる。透き通るような白い肌にすらっと伸びた腕や脚。全体的に漂う雰囲気は透明感の高さだ。公式プロフィールによれば好きな小説家は太宰治だという。この辺りは『火花』で芥川賞をとった又吉直樹に端を発するいまどきの流れかもしれない。しかし、あの精神世界に共感するようなら女優としては面白そうだ(繊細すぎて心がポキッと折れやすいようだと、生き馬の目を抜くような芸能界で主演の看板をはっていくには心配だが…)。
初登場シーンは体中に電流が走った
もしかしたら『トランジットガールズ』は大した内容のドラマではないかもしれない。しかし、彼女の初登場シーンはまさに体中に電流が走った。この衝撃は『SPEC』(2010年)で初めて見た有村架純を思い起こさせる。事務所が事務所だけに有村架純のような存在になれるかどうかの確信は持てないが、かなりの逸材であるとは感じる。まずは『トランジットガールズ』で彼女の魅力をじっくりと堪能していきたい。
*1(2016年4月17日更新):『トランジットガールズ』に小説(原作)があるかどうか気になっている人がいるようだけれど、これはドラマ用のオリジナル脚本。脚本家は加藤綾子(女子アナのカトパンと同姓同名)。彼女が手掛けた有名なドラマでは北川景子主演の『筆談ホステス ~母と娘、愛と感動の25年。届け!わたしの心~』(2010年)がある。その他、共同脚本だったけれど吹石一恵主演の『風に舞いあがるビニールシート』(2009年)も(原作は森絵都の小説で直木賞を受賞。なかなかいい小説だった)。
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