『下町ロケット』の初回を見た。阿部寛は主演として順当な演技を披露。吉川晃司については後日触れるとして(『下町ロケット』第2話の吉川晃司、最低限の演技力は保ってセーフ)、その他気になる俳優が数人いた中、圧巻の演技を見せていたのが立川談春(たてかわだんしゅん)だ。
嫌われ者という立場
白水銀行から出向し、いまは佃製作所の経理部長に就く殿村直弘の役。佃製作所の社員からはいずれ銀行に戻ると思われていて、嫌われ者という立場にいる人物だ。
『ルーズヴェルト・ゲーム』では悪役
立川談春の本業は落語家だが(師匠は故・立川談志)、数少ない出演ドラマが『ルーズヴェルト・ゲーム』。そこで演じたイツワ電器社長、坂東昌彦の役が話題になった。この時は主人公の敵、つまり悪役だったが、『下町ロケット』では味方。この真逆のキャラ設定が功を奏した感がある。
立川談春の絶叫に感動
もちろん全体を通しては、阿部寛の見所が十分すぎるほどあったが、初回でもっとも感動したのが立川談春が演じたあるワンシーンだった。
日頃は淡々と仕事をしているように見えていた殿村経理部長。しかし、佃社長(阿部寛)が買収の和解案に応じるというギリギリのところで突然強く反論。実は佃製作所が好きになっていたというオチ。それまで心にためていた思いを吐き出すかのような絶叫に心をうたれた。まさか名優が多くいる中で、こんなところにダークホースがいたとは。これから様々な役者たちにスポットライトが当たっていくと思うが、初回は立川談春がもっともおいしいところを持っていった。第2話も楽しみ。
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