いま次回作がもっとも期待されている俳優といえば堺雅人だ。そんな彼が『半沢直樹』(2013年)の次に選んだ連続ドラマは4月15日から始まる日本テレビの水曜ドラマ『Dr.倫太郎』。今度は精神科医を演じることになった。
『Dr.倫太郎』が成功するかどうかを判断するため、ここに至るまでの流れを振り返ってみる。
まずは『半沢直樹』について。最終回の視聴率は42.2%で平均は28.7%を記録。とんでもない視聴率を叩き出した。内容の面白さは語り尽くされているので、細かいところで成功に至った要因について考えてみる。
ポイントは『家政婦のミタ』(2011年)の存在だ。当時もいまもそうだが、視聴率で見ればドラマは低迷している(リアルタイムで見られていない)。いまさら松嶋菜々子の主演作でもないだろうという雰囲気の中、最終回の視聴率は40.0%で平均は25.2%を記録。個人的にはストーリー展開より、視聴率の推移に興奮した。この成功は新規層の獲得もさることながら、ドラマから離れていたファンを呼び戻した。
一方、堺雅人について。主演ドラマは続いていたものの、突き抜ける作品には巡り合えなかった。そこへ出会ったのが『リーガル・ハイ』(2012年)のぶっ飛んだ弁護士役。これはハマった。役者として突き抜け感があった。
このように潜在的な視聴者が増えていた中、上昇気流にグーンとのっかって『半沢直樹』で主演。初回で19.4%の好スタートを切り、内容が評価されて日本中の話題を独占していったというのが大きな流れだ。
さて、ここから『Dr.倫太郎』に話題を戻そう。日本テレビの水曜ドラマといえば、2014年は『花咲舞が黙ってない』が平均視聴率16.1%で、『きょうは会社休みます。』が16.0%と好調をキープ。そして、何よりもここはドラマの魅力を再認識させた『家政婦のミタ』枠なのだ。
さらに、いま発表されている主要スタッフがいい。
脚本:中園ミホ(『ドクターX』シリーズ、『花子とアン』『ハケンの品格』『anego [アネゴ]』『白鳥麗子でございます!』)
演出:水田伸生(『Woman』『Mother』)
プロデューサー:次屋尚(『Woman』『Mother』)
しっかりとしたドラマ作りで定評のある日テレ制作コンビに、脚本は僕の大好きな中園ミホ。いまは『ドクターX』シリーズで脚光を浴びているが、原点は『白鳥麗子でございます!』や『anego [アネゴ]』。特に『anego [アネゴ]』はその繊細な描写に何度心を打たれたことか。この部分が今回の精神科医というキャラクターでいかされそうな感じがする。
内容的には心配していない。『半沢直樹』の後のドラマなので、高視聴率を記録できるかどうかが焦点。そこで日本テレビは堺雅人に対して、『家政婦のミタ』枠という最高の舞台を用意した。ドラマファンはとにかく初回だけは堺雅人を見るだろう。そして、回を追うごとに魅力的な内容が加わり、堺雅人が演じるキャラクターにも深みが増してくると思う。
結論。『Dr.倫太郎』は『半沢直樹』の視聴率を超える可能性は十分にあると考えている(僕にとっては内容がいいことが一番重要だが…)。
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