『いつ恋』の西島隆弘、いまが俳優として真価が問われる時

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の視聴率は初回11.6%で第2話が9.6%。もうダメかという雰囲気が漂う中、第3話が10.0%とわずかに上昇し、何とか月9ドラマとしての威信を保っている。先日、視聴率は上昇していくと書いたが(高良健吾の演技が好影響、『いつ恋』の視聴率は上がっていくと確信)、その根拠は爆発力のあるキャストが揃っていることだ。ここではその一人、井吹朝陽を演じる西島隆弘(にしじまたかひろ)について触れてみる。

僕は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の放送前、西島隆弘のファンの方には申しわけないが、彼が主要キャストの一人として位置付けられていることに違和感を抱いていた。世間的には俳優というよりもAAAのメインボーカルとしての認知度の方が高い。Nissy(ニッシー)名義でソロデビューもしている。キャリア的には圧倒的に音楽寄りの人だ。古い話で恐縮だが、僕は彼が出演していたNHKの連続ドラマ『ゴーストフレンズ』(2009年)を見ていた。この時「やっぱりアイドルだなあ」というくらいにしか思っていなかった。だから、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』に出演が決まっても、演技者としてどうなのかという疑問があった。


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ただ、いい意味で気になる部分はあった。それは園子温監督の映画『愛のむきだし』(2009年)で主演を務めた経験だ。彼はこの映画でいくつかの新人賞を獲っているが、そんなことはどうでもいい。日本のエンターテインメント系の新人賞は事務所の力で決まるため(西島隆弘はエイベックス所属)、あまり価値は見出せないからだ。それよりも、園監督は様々な才能を発掘してきた人だから、その目にかなった事実が見逃せないのだ(その他、詳細は省くが蜷川幸雄演出の舞台経験も気になる)。ちなみに『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』には園監督のいまの秘蔵っ子、桜井ユキも出演している(『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で丸山朋子役、桜井ユキが女優力を見せつけるか)。

さて、話を西島隆弘に戻そう。第3話が終了した時点で、抜けたものはないものの印象は悪くない。何よりもキャラクター設定が魅力的なことがわかってきた。

井吹朝陽は介護施設を経営する征二郎(小日向文世)を父にもつ。しかし、その実態は愛人の子。正妻の息子で兄の和馬(福士誠治)とは育ってきた環境が大きく違うようだ。父から愛されない、満たされない寂しい境遇。演じる上ではおいしい。最初はナンパな男という印象だったが、彼の素性がわかるにつれてキャラクターに深みが増してきている。音(有村架純)の視点でとらえてもいい方向に印象は変わってきている。この恵まれた役をきちんとこなせれば、本来スターとして持っている人気とあいまって、視聴率向上に貢献できるのではないだろうか。

園監督の見る目は正しかったのか。いま、西島隆弘にとって俳優としての真価が問われる時が訪れている。

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